
日本福祉教育・ボランティア学習学会
会 長 諏訪 徹
ここ数年間、ニュースなんかもう見たくないと思うことがますます多くなってきました。ガザ、ウクライナ、ベネズエラ等での強者による一方的な攻撃と破壊、各国及び日本での排外主義の広がり、国際法・多文化共生・多様な性のあり方等、人類がそれなりに積み上げてきた理念やルールの崩壊の兆し・・etc。これから世界は、日本はどうなっていくんだろうという暗澹とした不安から、目をそらしたくなります。
さらに、こうした動きを主導する政治的権力者たちを、少なからぬ人々が熱烈に支持していることが、一層気分を滅入らせます。互いに交わることのないSNS上の言説空間で、人々が信じたいものだけを信じ、自分達の苦しさの原因を誰かに・何かに短絡的に帰属させる信念が増幅し、互いを攻撃する。それを、権力者が操作・利用し、一部のプラットフォーマー企業が占有する先端技術が支えています。
他方、紛争や格差が拡大し、人間にしかできなかったことをAIが行うようになるほど、その反作用として、人間らしさを問い直し、希求するムーブメントが大きく広がる可能性もあります。そこから、効率性や生産性の向上、あくなき経済成長といった、20世紀型の価値観・行動に背を向け、ゆっくりした時間や手間を尊び、リアルな空間での人と人、人と多生物や自然との身体感覚を伴う関りがある、人間的なくらしや社会を創る新しい担い手が登場しつつあるのではないか、という希望も感じます。
福祉教育・ボランティア学習は、ふだんのくらしのしあわせ(〈ふくし〉=well-being)を願う一人一人のわたしがつながりあって、わたしたちの〈ふくし〉を一緒に創りだしていく、学びと実践です。そのなかで、〈ふくし〉から取り残されている人々を少な
くし、社会的な排除や格差を生み出す社会・経済の構造を変えていこうとします。こうした営みが草の根で広がり、つながりあうことこそが、平和と社会・地球の持続可能性を根底で支える基盤であり、これからの世界にとってますます必要になると考えます。
会員の皆様、そしてよりよい社会・地球を将来世代に渡していくためのさまざまな営み携わる皆様。〈ふくし〉の力、役割、可能性を信じて、〈ふくし〉を創り出す福祉教育・ボランティア学習の実践・研究の輪を広げていきましょう。





